結縁灌頂(けちえんかんじょう)の歴史

 延暦24年(805)、弘法大師・空海が32歳の時、唐(中国)の都・長安の青龍寺において、真言密教の第七祖である恵果阿闍梨けいかあじゃり※と初対面しました。会ってすぐに灌頂壇に入ることを勧められ、金剛界(こんごうかい)胎蔵界(たいぞうかい)の灌頂の儀式に入壇し、投華(とうけ)されました。
 その(はな)は不思議なことに、いずれも曼荼羅(まんだら)の中尊である大日如来の上に落ち、仏縁を結ぶこととなりました。

 そして弘法大師が帰国後の弘仁3年(812)、京都の高雄山寺において11月に金剛界結縁灌頂、続いて12月に胎蔵界結縁灌頂を初めて厳修されました。さらに平安時代の応徳元年(1084)、堀河天皇の御代、高野山において結縁灌頂が始まったと伝わります。

 真言密教において、大日如来(だいにちにょらい)はあらゆる仏の中で最高の仏さまです。大宇宙そのものを表し、すべてのものは大日如来の化身と考えられています。胎蔵界(たいぞうかい)大日如来と金剛界(こんごうかい)大日如来の二種類が存在し、この胎蔵界・金剛界の大日如来の世界を表した二つの経典が真言密教の最も重要な核となっています。胎蔵界が「大日経(だいにちきょう)」、金剛界は「金剛頂経(こんごうちょうきょう)」と言います。
 また、密教の教えを「絵」として表現したものが、曼荼羅(まんだら)です。代表的なものに「胎蔵(たいぞう)曼荼羅」、「金剛界(こんごうかい)曼荼羅」があり、これも二つの経典が表す世界観を表しています。

 結縁灌頂は「胎蔵界」「金剛界」という二つの世界の仏さまと縁を結ぶものです。春に胎蔵界の仏さま、秋に金剛界の仏さまと縁を結び、溜まった心のほこり(迷い・不安)を取り除き、心の再生をはかり、本来の清らかな心(菩提心)を開くための儀式です。何度でもご入壇いただけます。

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